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──今年8月、突然の島田紳助引退会見で注目を集めたお笑い総合企業、吉本興業。当時は、ヤクザとの関係ばかりが取り沙汰された同社だが、その内実には大崎洋社長の“吉本クリーン企業化作戦”による、さまざまな問題が潜んでいるようで……。同社社員らに聞く、吉本興業内タブーとは?



 島田紳助の引退会見から、約2カ月がたとうとしている。各局で紳助が司会を務めていた番組の数々も、穴埋め作業が淡々と進んでいる。『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ)のように、番組レギュラー陣をスライドで司会に据えて乗り切る番組もあるが、特筆すべきは『開運!なんでも鑑定団』(テレビ東京)だ。同番組は、紳助の引退が発表された直後に再収録のスケジュール調整に動き、総集編などの特別編成を挟むことなく翌週から放送することに成功している。この時、この緊急事態に司会を任されたのが、紳助と同じ吉本興業の芸人である今田耕司だった。



「今田さんは、2004年の紳助さんの暴行騒動の際も代役を難なくこなしていましたし、次世代の中心的な司会者としてテレ東が評価しているのは間違いありません。その証拠に、ここ数年、年明けの一発目という局にとって大事な特番は、今田さんが司会を務めていました。ちょうど10月の番組改編で『やりすぎコージー』(同)が打ち切りになっていたタイミングでしたし、この司会交代は、テレ東にとっては渡りに船だったんじゃないでしょうか」(在京キー局関係者)



 本来、今田耕司はじめ、『行列のできる法律相談所』(日テレ)や『クイズ!紳助くん』(テレビ朝日)の穴を埋めた雨上がり決死隊などは、スケジュールの押さえにくいタレントの代表格でもある。しかし、彼らの出演料は紳助の3分の1程度ともいわれており、人気・実力共に紳助に劣らないながら、予算の大幅カットが可能とあらば、局側の損害は決して大きくはない。事実、「ただでさえ番組予算が削減される中、紳助さんのギャラが制作費の大部分を占めていましたから、『これで長く続けられる』という安堵の声さえ聞こえてきましたね」と、紳助が司会を務めた番組のスタッフも漏らす。当然、この緊急事態においてそんな彼らをブッキングさせることが可能だったのは、吉本の力にほかならない。



 これまで多くの芸人を世に送り出し、テレビにおけるお笑い需要を拡大させ、来年には創業100周年を控える吉本興業。今回同社関係者らに取材を進める中、紳助の引退騒動の裏で進められた番組司会者の“入れ替え”をはじめ、さまざまな変革の裏にある同社の思惑が浮き彫りになってきた。





“脱大阪”で変容を遂げた吉本興業の社内体制





「今回の引退騒動は、ある意味、吉本の一般企業化が進んだ証拠なのかもしれませんね。普通の企業のように、“コンプライアンス”という言葉が、社内で当たり前のように叫ばれるようになりましたから。『芸人だからアバウトでいい』というのは、もう世間的にも通用しなくなってしまったのかもしれません」(吉本関係者)



 同社は、コンプライアンス遵守遂行のための事業推進本部に元公安のキャリア官僚を天下り的に入社させるなど、「暴力団排除条例」への意識を含め、一般的な企業同様に自社の周辺から危険因子を排除する方向へと進んでいるという。では、吉本に所属する芸人自体には、何か変化はあったのだろうか?



「今の、東京を中心とした吉本興業という会社は、ダウンタウンと、彼らを支えてきた大崎洋現社長を頂点としたピラミットで形成されているんです。桂三枝、笑福亭仁鶴はもちろん、明石家さんまや中田カウス・ボタン、そして紳助らは、そのピラミッドのはるか上の、雲の上の人。いわば象徴であって、会社としてはある意味管轄外。たとえクビにしたところで、会社の体制的にはなんら変化はないんですよ」(同)



 そうして吉本が世代交代を進める中、名前が挙がるのが、前出の今田、雨上がりをはじめ、東野幸治、千原ジュニア、田村淳、加藤浩次らである。しかし、実は今、吉本が一番プッシュしているのがナインティナインの2人だ。



「以前は大崎社長との派閥の違いから会社との確執が取り沙汰されていましたが、岡村(隆史)さんの休養以降、完全に現在の“大崎体制”に取り込まれる形になったと聞いています。その証拠が『M-1グランプリ』(テレ朝)からフジテレビに移してリニューアルした『THE MANZAI 2011』への司会抜擢です。またこのタイミングで、2人のバラ売りが本格的になって来ました。ただ、休養していた岡村さんに『東野・岡村の旅猿 プライベートでごめんなさい…』(日テレ)などのロケ番組もがんがんやらせていて、大丈夫なのか心配ですが(苦笑)」(同)



 しかし、さらに吉本の推し進める世代交代に割って入ってきた人物がいるという。それが、紳助の同期であり、同じく治外法権化している明石家さんまだ。



「もともとフジを中心に、さんまシンパのテレビスタッフは多いんです。ただ、最近は数字が取れていなかったので、徐々に離れていった向きもあったのですが、ここへきて『ホンマでっか!?TV』(フジ)が受けて息を吹き返しています。本人もまだまだ現役バリバリで、最前線で闘う気マンマンですから……。吉本の本音としては、ありがた迷惑でしょうね」(同)





■吉本興業が見据える新ビジネスの思惑とは?





 こうした派閥の変動に揺れる一方、業界内では敵なしとも思われる巨大企業へと成長を続ける吉本。そんな同社が、本分であるタレントマネージメントや劇場経営に加え、今最も力を入れているコンテンツが、映画製作である。



「松本人志さんをはじめ、板尾創路さん、木村祐一さんに品川祐さんやガレッジセールのゴリさんなど、吉本芸人がメガホンを自ら取り製作する映画を、『これでもか!』ってほど作らせています。ただ、興行的に成功したのは品川さんの『ドロップ』(09年)くらいで、あとは採算の取れない作品ばかり。特に、松本さんの作品は製作費も大きいので、かなりの赤字です。特に『しんぼる』(09年)は完全にタブー化してますね(苦笑)。やっと、最新作の『さや侍』(11年)でDVDまで含めればトントンまで持っていけるかも……といった感じで、みんなホッとしている状況です」(前出・吉本関係者)



 芸人が監督を務める映画に関しては、自らの出演するテレビ番組で告知ができて宣伝費は大幅にカット可能。さらに、彼らの人気ぶりからさまざまな媒体への露出もできるので、簡単に認知度を上げられる。そして、その効果を最大限に生かしたイベントが、今年も3月に開催された、世界各国のコメディ映画を中心に集めた「沖縄国際映画祭」である。



「今年は震災直後だったので開催が危ぶまれていたのですが、大崎社長の『沖縄から元気を!』の一言で開催が決定しました。この映画祭自体が大成功かといわれれば、疑問が残るものではあります。ただ、最大のポイントは、この映画祭に向け、全在京民放キー局と吉本が共同製作で映画を撮っているということ。それも『モヤモヤさまぁ~ず』(テレ東)の伊藤隆行(『お墓に泊まろう!』監督)や『恋のから騒ぎ』(日テレ)の小川通仁(『幸運の壷』監督)など、各局のバラエティ製作における“エース級”のプロデューサーやディレクターを監督に据えて、映画製作を行っていることなんです」(同)



 つまり、赤字覚悟で開催する映画祭のメリットは、テレビ局が今セカンドビジネスとして力を入れている映画製作の場を提供し、各局のバラエティ製作の現場との関係性をより親密に構築しようということなのだ。



 ただ、吉本の仕掛けが、すべて成功しているとは思えない。今年夏、1週間にわたり東京山手線各駅でイベントを同時開催した「YOSHIMOTO WONDER CAMP TOKYO」がそれだ。10年まで開催し、当初の赤字から徐々に黒字に転じていたお笑いフェス「LIVE STAND」をやめ、広域開催で地域密着型のイベントを目指したものの、世間的に話題に上ることもなく、イベント的に失敗と見る向きもある。しかし、それすらも吉本の戦略の一端だと、前出の関係者は言う。



「震災後、エンタメ産業の風当たりは強い。そんな時に、黒字決算を出すわけにはいかないんですよ。だから、普通にやっていれば黒字になるところを、計画的に赤字になるように仕向けた、ということではないかと社内ではもっぱらの噂です。大崎社長の見事な計算なのでしょう」





■真面目な芸人しか売ってもらえない?





 では、現在吉本で活動する芸人は、今の吉本をどう見ているのか? 現在若手ライブを中心に活動している、芸歴10年以上の吉本芸人A氏に話を聞いた。



「(紳助引退会見の当日は吉本から)『会社に近寄るな!』ってメールが一斉に芸人に送信されて、何も知らなかったので、『いよいよ会社も潰れるのか』って話を芸人同士でしてました(笑)」



 いきなりクビということには違和感がなかったというA氏。実は、紳助騒動以前から、会社に変化があったのだという。



「極楽とんぼの山本(圭一)さんの騒動【編註:06年、未成年の少女に酒を飲ませて強姦した疑いで、吉本から解雇された。当時、同社は全タレントに「当面の間、飲み会及び合コンの類いを禁止する」と通告する事態に】がきっかけだったと思うんですが……5年前くらいから会社がコンプライアンスを意識するようになったと思います。年に1回、最下層までの全芸人が集められ、研修を受けています。ギャンブルとか女の子関係も無茶するなって話を聞いて、最後にはもし破ったらクビという内容の承諾書にサインをして……(苦笑)。だから、会社はいざというとき『守ってはくれない』という意識はありますね」



 しかし、一説には「ヨシモト∞ホール」でのライブ出演料は、出演するライブのランクにより、ノーギャラから、1回500円、1000円、2000 円くらいまでしかもらえないともいわれ、ギャラが安いことでも有名な同社。今注目のヤクザイベントでの営業をはじめ、結婚式やクラブイベントでのMCなど、会社以外からの“闇営業”を取ってくる芸人はいないのか?



「いや、絶対にやらないですよ。バレたらリアルに仕事減りますから。そのリスクのほうが大きい。もともと仕事が月1本とかの若手だったら関係ないですけど……。みんなある程度になったら、やらないですね。NSCの卒業生だけでも、毎年1000人単位で芸人は増えますから、あっさり切られますもん」(A氏)



「昔は、朝まで飲んで寝ずに仕事に行くとか、毎晩女の子と合コンして武勇伝をたくさん持ってるとか、そういうのが芸人としてのステータスになりましたが、今は『明日仕事なんで』と言って終電で帰っても文句を言うような先輩もいない」とA氏が言うように、実際、はんにゃ、しずる、フルーツポンチといった遊ばない真面目な芸人たちが次々と売れ、ストイックな芸人しか生き残れないというのが現在のお笑い界。「会社の締め付けも競争も厳しくなって、ストレスはたまる一方ですが、芸人たちの間では、その発散のためにジョギングがはやってる始末」(A氏)だという。果たして今後、吉本の“頂点”に君臨する、ヤクザや合コンネタでのし上がったダウンタウンに続く芸人は育つのか? “クリーンな企業”を目指す大崎社長の今後の社内統治に注目していきたい。

(文/青木 忠)





(この記事はエンタメ総合(サイゾー)から引用させて頂きました)



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