＜中国証券報＞上海外国為替市場で人民元為替レートは12月、対米ドルで連日ストップ安を付けた。だが21日付の上海証券報は、人民元の下落は一時的な現象であり、長期的にみれば人民元の長期的な上昇傾向は変わらないとする西南財経大学金融学院の周立氏と呉志堅氏の論文を掲載した。以下はその抜粋。



　欧州債務危機の影響で、アジア国家の経済成長は明らかに減速した。その減速ペースは欧州経済よりも速く、海外投資家に懸念をもたらした。経済指標の内容の悪さが株式市場を低迷させ、株式低迷が外貨の国外流出と自国通貨の下落を招いた。欧州債務危機の混迷を受けた世界経済の見通しの悪さが、世界の資金を米ドル資産に向かわせたことも、新興国の通貨を下げる圧力となった。

　

　人民元の対米ドルスポットレートが基準値を大きく下回る局面が続いていることは、人民元の下落観測が強まっていることを反映している。だがインドルピー、ロシアルーブル、タイバーツなどと比べると、その下落幅は最も小さい。



　さらに人民元の軟調基調は一時的な現象だとみる。中国の国際収支は純資本項目において資本流入をなお続けている。人民元の上昇観測はやや後退したものの、経済のポテンシャルが人民元の長期的な上昇を左右する流れは逆転できない。中国経済が先進国を上回るペースで成長を続けていくことは今後も疑いの余地がない事実だ。中国経済のファンダメンタルズをみれば、人民元の長期的な上昇観測はなお存在し、人民元レートは2012年に年間4％程度の上昇幅を維持すると考える。中国が3兆米ドル超の外貨準備を保有していることも考慮すれば、人民元は世界で最もバリュエーションを備えた通貨の一つであるという地位を長期的に維持していくだろう。



　また人民元の一時的な下落が実体経済や金融市場に与える影響は不可避だが、その影響は大きくなく、中国経済の健全な成長に前向きな作用を持つ可能性すらある。



　2005年7月の切り上げ以降の人民元の速い上昇は、中国の輸出企業にとっての大きなストレスとなってきた。この点でみれば、人民元レートの下落は輸出型企業にとっては朗報となる。また投機マネーが海外に流出すれば、国内のバブルリスクが軽減され、金融引き締めへの圧力が緩和される。さらに人民元の単方向的な上昇観測が弱まれば、企業の金融商品の取引意欲が増し、中国の金融市場を活発化させる作用が期待できる。（編集担当：浅野和孝）





(この記事は中国（サーチナ）から引用させて頂きました)

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