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 「ようやくお父さんをお墓に入れることができる」。宮城県女川町出身の佐々木里帆さん(27)は4日、東日本大震災の津波で亡くなった父光朗さん(当時62歳)を納骨する。震災6日前に身重のからだで挙式し、その約3カ月後に長女を授かった。花嫁姿は間に合ったけれど、初孫を抱くことはかなわなかった光朗さん。「お父さんありがとう」。一周忌まで控えていた別れの場で、長女を胸に抱き、父に感謝を伝えたい。



 「こういう時だからこそ、笑顔の多い子に育ってほしい」との思いから名付けた長女弐香(にこ)ちゃん。すくすくと成長し、2524グラムだった体重は10キロ、身長は69センチになった。それも父のおかげだと感じている。



 昨年3月5日の挙式から1週間もたたずに、大きな揺れに襲われた。夫修平さん(28)と暮らす仙台市宮城野区のアパートにいた里帆さんはすぐ、光朗さんに電話をしたが通じない。その後も避難所に身を寄せ、母みどりさん(61)とも一時連絡が取れず、ストレスと不安から頻繁におなかが張って痛んだ。



 40年近く船乗りをしていた光朗さん。当時も海の上にいたが、避難中に津波にのまれたのか翌日の12日、遺体は自宅内で見つかった。しかし発生直後の混乱で「身元不明」のまま同県石巻市の病院に運ばれていた。妊婦の里帆さんを気遣った姉が父の死を知らせたのは数日後。電話で聞き、その場で泣き崩れた。



 3月22日の葬儀への参列を当初は親類に止められた。おなかの赤ちゃんに遺体を見せるのは……という気遣い。でも「どうしても父を見たい」。赤ちゃんの目隠し代わりに鏡を服の中に入れて式に臨んだ。震災後初めて見た父の顔は黒かったが、寝ているようで優しい表情だった。



 背中を押された。「この子をちゃんと産まないといけない」。赤ちゃんに心配をかけないように努め、周囲の支えもあり昨年6月7日、無事に出産した。



 寺に預けたお骨に会いに行くと、弐香ちゃんは突然声を上げる。「お父さんのことが分かるのかな。びっくりした」。近づく結婚1周年と父の一周忌。この間、里帆さんの夢の中に光朗さんは何度も出てきた。いつも笑顔だ。そして1度、弐香ちゃんを抱いた。



 震災で壊れた女川町にある墓の修理は数日前に終わったばかりだ。「この1年は早かった。正直まだ信じられない。お父さんに対する気持ちは、あれから止まった状態なんです」と里帆さんは打ち明ける。でも「納骨を終えたら、自分の中で踏ん切りがつき、改めてスタートを切れると思う」。笑顔の絶えない家庭を築くつもりだ。【小林洋子】





(この記事は社会(毎日新聞)から引用させて頂きました)



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